令和になってなおさら珍しくなってきたキハ40形、10数年前ではどこにでもあった気動車でした。
これまで当ブログではJR東日本・JR西日本・JR九州で活躍するキハ40形を紹介、JR東日本からあと1年で消えようとしています。
そんな中で只見線で活躍したキハ40形2両が千葉の私鉄・小湊鉄道へ譲渡されたと話題になっています。
国鉄型キハ40形が在籍するのはJ利害の私鉄・3セクでは「3社」そして、小湊鉄道が加われば4社となります。
今回は私鉄で活躍するキハ40形を紹介します。
こんな方におすすめ
- キハ40形が好き
- 小湊鉄道が気になる
- どの路線で乗れるの?
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道南いさりび鉄道

写真ACより
道南いさりび鉄道は北海道の木古内~五稜郭を結ぶ路線です。元JR江差線の一部で、北海道新幹線開業後はJRの経営から外れ、第3セクターとして運行されています。
使用する車両はキハ40形で、JR北海道から9両が引き渡されました。
海岸線を走る事から観光客の利用が多く、貨物列車が通る青函連絡の鉄道として機能しています。
道南いさりび鉄道オリジナルのカラーリングに加えて、国鉄急行色と国鉄首都圏色の計7色とカラーバリエーションが豊富です。
カラー一覧
- キハ40 1793 「ながまれ号」 [待宵藍]
キハ40 1799 「ながまれ号」 [待宵藍]
キハ40 1814 山吹色 [咲初]
キハ40 1810 濃緑色 [夏木立]
キハ40 1796 濃赤色 [豊穣]
キハ40 1815 白色 [禊]
キハ40 1812 山吹色 [咲初]
キハ40 1807 国鉄首都圏色
キハ40 1798 国鉄急行色
この9両のうち2両が、「ながまれ号」という観光列車に改造されました。

写真ACより
ながまれ号は月に1~2回日本旅行が開催するツアーで運転されるほか、普通列車として運用されることもあり、ツアーでは地元の海産物を使った料理がふるまわれるほか、停車駅で催しが行われます。
参考
ながまれとは、道南の方言で「ゆっくりした」「のんびりした」という意味
改造にかけた額は3500万円と観光列車にしては低額、しかしツアーの予約が常にいっぱいになるようで、日本1コスパが良い観光列車として知名度を高めています。
首都圏色に急行色の列車も走っています。2020年3月にJR東日本から引退したので日本でも数少ない国鉄色の復刻版となっています。
詳しい運用については道南いさりび鉄道HPに掲載されています。訪れる前にチェックしてみましょう!
小湊鉄道
千葉県市原市の五井と上総中野を結ぶ私鉄です。2020年5月、JR只見線で使用されたキハ40形2両が小湊鉄道の元へ引き渡されました。
当初はファンがSNS上で噂されたのを聞いて、私は懐疑的でしたが、実際に郡山から小湊鉄道の五井機関区まで回送された以上、小湊鉄道に移籍したのは間違いないでしょう。
おはようございます。今朝の小湊鉄道。車両の並びが変わってキハ40がJRのホームからもよく見えるように。 pic.twitter.com/blp19cgjWd
— Memorin@当面予定白紙 (@memorinclub) May 27, 2020
しかし、公式にはキハ40についてプレスリリースどころか言及すらしていない状態で、キハ40形の購入した経緯や今後の運転についても何もわかっておりません。
推測では現在普通列車として使用されるこちら、キハ200形の中に冷房がない車両が2両ほどあるとのことです。
そして1964年デビュー、56年間現役で活躍している車両なので老朽化による置き換えをする可能性が高いです。
キハ40形もデビューから40年、どちらも老朽化ではいい線言っている車両なんですが・・・
今後の正式な発表に期待しましょう!
会津鉄道
福島県の西若松駅と会津高原尾瀬口駅を結ぶ第3セクター路線、その内非電化区間の会津田島駅~西若松駅、そしてJR会津若松駅までの区間で主に走行しています。
引用:Wikipediaより
その中で土日を中心に運転されるのが「お座トロ浪漫号」というこちらの列車です。「お座敷」と「トロッコ」を合わせて略したのがお座トロ列車。
お座敷と床が高いハイデッカー構造の展望車が特徴的なAT-400形は元JR東日本所属のキハ40 511を改造して作られました。
キハ40511 経歴・会社 | 期間 | 所属 |
JR東日本 | 1987/4~1990/3 | 小牛田運転区 |
JR東日本 | 1990/4~1991/3 | 山形運転区 |
JR東日本 | 1991/3~1993/11 | 新庄運輸区 |
JR東日本 | 1993/12~2003/4 | 会津若松運輸区 |
会津鉄道 | 2003/4~ | 田島車両基地 |
キハ40形がJR以外の鉄道事業者に譲渡された初めての例で、会津鉄道側の予算の都合から生まれた車両でした。
とはいえ、キハ40形の武骨さの面影が無くなった外観で、大きくせり出した展望車が特徴的です。
当初は2階建ての新車を製造する予定でしたが、機器の配置や大型バスと同じ定員を確保しなければならないなど制約が大きくなったため苦肉の策が垣間見える車両です。
磐越西線・只見線でキハ40形が引退した後、福島県内で定期的に見られる最後のキハ40形になってしまいました。
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お座トロ列車に乗るためには?
お座トロ列車は会津若松~会津田島と、鬼怒川温泉~会津若松で運転されています。
運転日 | 4月~12月の土日祝日(2020/6現在はコロナウイルスの影響で運転中止) |
料金 | 運賃+整理券料金(大人:320円 子ども:160円) |
本数 | 会津若松~会津田島1.5往復 鬼怒川温泉~会津若松~会津田島 1往復 |
整理券発売箇所 | 西若松駅・芦ノ牧温泉駅・湯野上温泉駅・会津下郷駅・会津田島駅・会津高原尾瀬口駅の駅窓口
車内乗務員・みどりの窓口・会津観光・会津トラベルサービス |
整理券発売箇所(福島県外) | JR東日本みどりの窓口・東武ツアーズ・日本旅行・JTB・近畿日本ツーリスト・びゅうトラベルサービス |
備考 | 乗車には整理券が必要です。
指定席券ではないので混雑する場合があります。 |
福島県外からも乗車整理券が購入できるので、事前購入をオススメします。
注意
現在はコロナウイルスの感染拡大防止として運転を取りやめています。
えきねっとでは取り扱いがないので、インターネットからはびゅうトラベルサービスが良いでしょう。
運転日など詳しい情報は
錦川鉄道
山口県の岩国駅(本来は川西駅)と錦町駅を結ぶ山口県の第三セクター路線です。

烏山線で活躍の頃
2017年にレトロ調車両としてJR東日本烏山線で使用されていたキハ40 1001が譲渡されました。
三セクへの譲渡は全国で3例目で、特に錦川鉄道の場合は塗装の変更や改造が行われていないので、純正のキハ40形の姿を見る事が出来ます。
余談ですが、こちらは俗に「日光線カラー」と呼ばれ、側面に大きく「N」と描かれています。
錦川鉄道もイニシャルは「N」でこれを狙っての譲渡かどうかはいまだ不明です。
錦川鉄道のキハ40形に乗るには?
錦川鉄道のキハ40形は「観光列車」扱いなので残念ながら普通列車として乗ることは出来ません。
錦川鉄道が主催する臨時列車か貸切運行を中心に運用されるようです。キハ40形に乗れるツアーは以下の通りです。
清流みはらし列車 | 岩国~錦町 | 5000円~ |
秘境駅ハーフ列車 | 錦町~北河内 | 2000円~ |
この2つのツアーは月1回行われており、錦川鉄道HPから予約が出来ます。車内にはこのようなテーブルが設置され、錦川に沿った車窓を眺めながら観光を楽しめます。
キハ40形の車内にはテーブルが設置されている:引用:錦川鉄道HPより
注意
現在はコロナウイルスの感染拡大防止のため、運転日は未定です。
番外編・ミャンマーでのキハ40形
最後は私鉄ではなく、海外の鉄道に譲渡されたパターンを紹介します。
東京から4700㎞以上離れたミャンマーの首都、ヤンゴンを走る「ミャンマー国鉄」にキハ40系が多く譲渡されてきました。
ミャンマー国鉄にはJR各社からトータルで71両が無償譲渡され、2019年には新たに5両が追加で譲渡されています。

ミャンマーで走るキハ40・オリジナルカラーも存在
これは日本によるODAによる譲渡で、ミャンマーでは慢性的に交通渋滞が問題となっているので首都ヤンゴンを走る環状線に日本の中古車両を集中的に導入しています。
しかし、レールはイギリス領時代に建設された線路をだましだまし使っているので、線路の歪みが激しく、自転車ほどのスピードでしか走れません。
それでも日本のキハ40系がミャンマーで人気なのは、性能の良さではないでしょうか?
ミャンマーでこれまで走っていた車両には冷房がありません。亜熱帯に属するミャンマーに冷房は必須にもかかわらずです。
そしてキハ40系は車齢40年と他の車両に比べて若いのも特徴です。部品も大量にあるでしょうから修理のし易さも考慮されているかもしれません。
ボックスシートからベンチシートに付け替えるなど細かい改造はありますが、基本的に大きな改造はくわえられていません。
「君の名は。」でも登場した高山を走ったキハ40形 引用:Wikipediaより
塗色も日本にいた時のままでいることが多く、高山本線で走っていた国鉄色に「美濃太田」と書かれたサボもそのままだったりします。
キハ40形に乗りたくなったら、パスポートを持ってミャンマーへ!となると好きではなく愛してるレベルですね!
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まとめ
今回は私鉄で活躍するキハ40形について紹介しました。
JRでは特に東日本だと新型車両に置き換わり、風前の灯火状態でありますが、私鉄・3セクでは譲渡後間もないのでまだまだこれからという感じです。
世間的に一番注目を集めているのはやはり「小湊鉄道」に譲渡された元只見線の2両、あの後どうなるのか?普通列車として房総地区をかけるのか?今後も注目です。
そして数を減らしつつあるタラコこと「首都圏色」は北海道の道南いさりび鉄道でも見られます。これからの活躍に期待が持てる車両です。