鉄道マニアと一口に言っても撮り鉄・乗り鉄・音鉄・収集鉄など30種類にも分かれています。しかしその中には鉄道マニアの中でも悪質な行為をする輩を指すものがあります。
中でも悪質なのが「盗り鉄」です。「とりてつ」と読みますが撮り鉄ではなく、鉄道部品を盗んでコレクションしたり転売する人のことを指します。
盗り鉄が実際に盗んだとされるニュースを目撃しました。
どういうことなのか?要約するとこうなります。
10月16日、運休区間の四方津駅(山梨県上野原市)に孤立していた列車から、部品が盗まれているのではないかという投稿がツイッターに現れた。写真を見ると、留置されていた211系電車から、行き先を表示する方向幕や号車番号を示す号車札、運転台の中にある編成番号札がなくなっていることが確認できる。
J CASTニュースより
つまり、台風の影響で駅に停泊している列車から部品が盗まれたというもの、これに対し「盗り鉄のしわざだ」という声が上がっています。
今回は啓蒙・警告を含め、悪質な鉄道ファン「盗り鉄」について取り上げていきます。
度が過ぎた行動をつつしめるようになってくれたら幸いです。
※なお健全な「鉄道ファン」を貶めるようなことは決してしませんのでその辺りはご安心ください。
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盗り鉄とは?
鉄道関連の設備などを収集したいがために盗みをはたらく鉄道マニア、または、熱心な鉄道ファンに転売する目的で鉄道関連設備を盗む者の通称。
「盗り鉄」は「撮り鉄」をもじった呼称であると言えるが、必ずしも盗り鉄が鉄道愛好家であるとは限らず、単なる転売屋の窃盗犯を指して盗り鉄と呼んでいる場合がある。
weblio辞書より
鉄道マニアの中には車両の部品(表示幕・機器類)運行関連の備品(行先サボ・ヘッドマーク)などを収集する「収集鉄」というジャンルがあります。
近年では屋外展示されている車両の部品や、過去に使われた鉄道関連の展示物を盗難する輩が目立ってきました。
これを「盗り鉄」と言います。「鉄」とついていますが趣味のジャンルではなくただの犯罪者を揶揄したことなので一緒にしないでいただきたいです。
悪質化する盗り鉄
今回中央線で起こった盗難事件はこの3点においてかなり悪質であることが分かるかと思います。
事件のポイント
- 現役の車両の部品
- 列車の運転には大事なもの
- 侵入しやすい駅に停泊中の列車から堂々と持ち去った
台風の影響で四方津で運転打ち切りなってからずっと止まって
いるN321+N322の中N322の側面行先方向合計3台と甲府方編成札が昨晩盗まれたらしいです。
警察が介入しています暇人の集まり山梨県警なので、本格的に操作するでしょう。
犯人自主した方がええで! pic.twitter.com/dFq75I2p5L— 🍏たーくん🍎 (@trick_star_nana) October 16, 2019
鉄道部品が盗まれた今回の事件、この場合「窃盗罪」が該当します。
加えて列車の運転に支障がきたせば「威力業務妨害罪」、盗むにあたって車体を壊したはずなので「器物損壊罪」も加わることでしょう。
同じ事件が2019年4月にJR東海でも起こりました。
運転台の部品を盗まれた。かなりの大きさ・重さになるので複数犯の可能性がある。
毎日新聞より
犯罪の手口も単独犯から複数犯に、そして巧妙になってきています。
実物の運転台をコレクションにしたいのか?それとも転売をして儲けるつもりなのか?いずれにしてもマニアの欲望が犯罪を助長していることは確かでしょう。
そもそも鉄道部品って価値があるの?
物の価値というのは物によって違うのは当然ですが、鉄道関連の部品などは「古いもの」ほど価値が高まります。
以前紹介した「時刻表」もおなじです。ヤフオクを見てみると

引用:ヤフオクより
SL・D50のナンバープレートがなんと「172万円」
他には、特急のヘッドマークが「53万円」レアな鉄道部品は少なくても何万円単位で取引されます。
盗り鉄の中には転売目的で盗みをする者もいると書きましたが、これだけ高額で取引されていると分かれば盗む奴もいるし買い手もつくからやめられないのでしょうね。
一般人には理解されづらい「マニア精神」
鉄道以外でもマニアというものはなぜ夢中になれるのか?どこが魅力的なのかが周りから理解されづらいものです。
それはインターネットの発達とSNSの普及で、世界単位で同志とつながりは出来るものの、本質的にはまだまだ理解されないところが大きいです。
しかも同じマニア界隈でも意見の食い違いや思考が相いれないといったことはよくある事です。
実際に私は鉄道が大好きで、乗り鉄・撮り鉄・収集鉄(主に知識関連)なのですがグッズ収集には興味がありません。そんな資金があるのなら実際に乗りに行きたい派なので盗んでまで集めようとする人の気が知れないです。この時点で同じ鉄道マニアという括りでも価値観の相違があるのがお分かりかと思います。
また、現在進行形で使われている備品や部品を盗むのも「実際に使われているものがどうしても欲しい」という強いこだわりが動機になっています。
実際に駅員が発車合図に使用する合図燈(カンテラ)をそのような理由で盗んだ高校生が逮捕されています。

引用:株式会社タンタカ
動機はどうあれ立派に「犯罪」として成立しているわけなので「こだわり」の前に「常識」というストッパーを掛けて頂きたいです。
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廃車・廃線の場合 罪になるの?

部品の盗難は展示物の価値を下げる事にもなる 引用:JCASTニュースより
無論罪になります!!
公園や博物館に展示されている車両の場合、公園の所有・管理者・博物館なら博物館の「所有物」なのでそこから部品を盗むことは犯罪です。例え、盗まれて困る人が誰もいない場合でも犯罪です。
では廃止になった路線はどうでしょうか?
2014年5月に廃止された江差線 引用:DVD 北の鉄路 変化の瞬間より
北海道江差線五稜郭~江差の例を見ると以前、廃止になった区間の内2駅の駅名標を盗んだ容疑で函館市の50代男性が逮捕されたことがありました。
廃線の駅名標ということで時価5万円の価値がつくそうです。
この時点で窃盗罪が成立するのですが、「もう使われなくなるなら盗まれてもいいんじゃね?」という意見が多く見られます。
確かに誰かの迷惑になっているわけでもないし、いらないものを持っていくことが罪に問われることかと追及したらキリが無いです。しかし、通報されず、起訴されずに済んでいるだけで、前科が付くリスクを内在しているのです。
私が考えるに盗り鉄の問題点はこの3つだと思います。
ポイント
- 盗むことで個人的な欲求を満たす
- 盗んだものを転売して利益を得る
- 不必要なものだと勝手に判断して盗む
例えば何年も聞いていないCDを家族に勝手に売られて、お金に変えられたらどうでしょうか?そして勝手に持ち出して売ったことを咎めでもしたら「どうせ聞いてないからいらないと思ってうってあげたのよ」と言われたらどうでしょう?
勝手に売られた上に開き直られて、売ったお金も自分には入らなければ結果自分は損をしますね。それ以前にその行動の非常識さに怒るはずです。
つまり盗り鉄のしたことはそういうことです。
廃止となってもしばらくはレールや駅など設備は残るので盗難が起こりやすい 引用:DVD北の鉄路変化の瞬間より
廃車や廃線も適切に処分されていくので、処分が終わるまでは「所有権」が発生します。
所有権がある状態のものを盗むことが窃盗なのでどんなものでも勝手に盗むのは絶対にやめましょう。
広がる誤解
SNSや質問サイトで盗り鉄と検索すると「彼らは鉄道マニアなの?」という質問が出てきます。
好きであるがゆえに犯罪に走る人もいればただの窃盗犯もいるので曖昧になりますが、犯罪者を鉄道マニアは拒絶します。私も一緒にされたくないと思っています。
「盗り鉄」というワードは誰が言ったか知らないけれど多分マスコミか鉄道マニア界隈で生まれたワードでうまいネーミングだなと思うくらいでマニアではなく犯罪者です!(しつこいようで申し訳ないです)
これでは勘違いする人も出てくるでしょう。
このようにマニアによる過激・低俗・非常識な行為は、絶対数としては少ないのですが、SNSやメディアを通じて悪目立ちするので誤解は出てくるのは仕方がないことです。
私たちに出来る事は
- 自分だけでも常識を持って気持ちをセーブする事
- 初心者や子どもにはダメなことはハッキリとダメと教えていくこと
これの継続だと思います。
欲に負けて盗みをすることで一瞬で人生が転落します。そして周りにも迷惑がかかるので良識をもって鉄道ファンと名乗りましょう。
まとめ
- 盗り鉄はファンではなく犯罪者
- 鉄道グッズは高額取引される
- SNSで一気に拡散される
- 窃盗罪の他に器物損壊罪・威力業務妨害罪など余罪が出てくる
- マニアだからは理由にならない
- 廃車・廃線であろうと盗難はしてはいけない
悪質な鉄道ファン「盗り鉄」、これを読んでくださった方は盗り鉄≠鉄道ファンだと理解してもらえたかと思います。
長々と書きましたが結局は「盗まないこと」これに尽きると思います。子どもでもわかることですね。
このような輩がいなくなることを願います。
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参考
Wikipedia
埼玉新聞
jcast news
毎日新聞
乗り物ニュース
Yahoo知恵袋
函館ニュースヘッドライン