山形新幹線に新型車両「E8系」が導入されると、山形新聞ほかメディアで公式に発表され、話題を集めています。
それによって
- 東京~山形が時間短縮される
- 全車両コンセントとWi-Fiがつく
- こまちみたいにカッコいい車両になる
などなど山形新幹線のグレードアップに期待が膨らみます。
また山形新幹線開業から悩みの種になっていた福島駅の上り線に向けて新たに連絡線を建設することも分かっています。
今回は
!!
- 山形新幹線の新型車両導入について
- 福島駅の改良工事はなぜ必要か?
- つばさ以外のE3系について
の3本立てでこのニュースを解説します。
(※2020年3月3日時点の情報)
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山形新幹線の新型車両は2023年デビュー
あらためてニュースの内容を確認すると
JR東日本が東北・山形新幹線のスピードアップと時間短縮に向け、駅や車両のリニューアルに乗りだした。山形新幹線「つばさ」に、2023年春をめどに新型車両の導入を検討。ダイヤ編成の“ボトルネック”になっている東北と山形が合流する福島駅の線路構造を変える大規模改良工事にも着手し、駅周辺で用地買収の作業に入った。関係者への取材で16日分かった。
出典元:福島民報HPより
山形新幹線つばさで使われているE3系に代わって新しい車両がデビュー、
それによってスピードアップが見込めるとのことです。
新型車両はどんな車両?
新形式・E8系
2020年3月3日 JR東日本から山形新幹線用の新形式「E8系」をデビューさせることが発表されました。
それがこちら。
出典元:JR東日本公式プレスリリースより
ニュースではさらに新型車両について、
「新たに導入が検討されるのは秋田新幹線の車両をベースにした新型車両を導入し・・・」
日テレNEWS24より
と報道。
新形式として秋田新幹線こまちで活躍するこちらのE6系をベースにした車両が検討されていました。
E8系 出典元:JR東日本公式プレスリリースより
E6系
比べて見て見ると、見た目ではE8系の方が少し丸みを帯びた感じです。
先頭形状の長さもE6系が13ⅿに比べてE8系は9ⅿと少し短くなっています。
また座席についてはグリーン車は寒色系・普通車は暖色系で、どちらも山形県をイメージした色合いでその辺りのこだわりの強さを感じます。
E8系は2024年春にデビューし、2026年までに全17編成を落成し、現在のE3系を置き換える予定です。
E3系
今のつばさで活躍するのがこちらの車両・E3系です。
一番古いもので2005年製なので製造から15年目になります。
新幹線車両はどのくらいのサイクルで置き換わるかというと一般的に「15年」と言われ、一つの基準になっています。
先代の400系はデビューから16年、2008年に引退しました。
新型車両が2024年春にデビューすると、E3系はデビューから16年が経つので置き換わってもおかしくありません。

400系「つばさ」
ニュースを見た時「え?早いな」と思いましたが、置き換えの目途があと3年後くらいなら「あ、もうそんなに経つんだ・・・」と感慨深くなります。
まぁ、それだけ年を食ったから早く感じるだけかもわかりませんがね。
車両の比較
では新型車両E8系とベースになったE6系と今のE3系を比較してみましょう
E8系 | E6系 | E3系 | |
デビュー年 | 2024年 | 2013年 | 2008年 |
最高時速 | 300㎞ | 320㎞ | 275㎞ |
両数 | 7両 | 7両 | 7両 |
座席の種類 | グリーン+指定 | グリーン+指定 | グリーン+指定+自由 |
コンセント | 全席 | 窓側・グリーンは全席 | 窓側・編成によっては無い場合あり |
シートピッチ | ? | 980mm | 980mm |
Wi-Fi | 〇 | 〇 | 〇 |
E8系は車両としてはやぶさで使われるE5系並みの高スペックさが見て取れます。
E3系より最高時速が45㎞アップし、Wi-Fiのほかに大型荷物置き場を完備したインバウンド需要に応えた設備になります。
コンセントについてはある車両とない車両が混在し、設備面でバラつきがありましたがその問題は解消されるでしょう。
デメリットは乗客数が減ること。
E3系は普通車371席+グリーン車23席なのに対して、E8系は普通車329席+グリーン車26席となっています。
グリーン車が+3席なのに対して普通車は-42席でトータルで40席減ることになります。
どうして乗客の数が減るのか?
こまちで活躍したE3系はかつて6両で運転されていましたが、E6系は320km運転をすることで先頭形状がE3系より鋭くなります。
その結果、定員が70名も減ることが分かりました。
なので前と定員を一定にするように1両プラスした7両で今では運転しています。
しかし山形新幹線はすでに7両で運転中。
もし定員を同じように確保するならば同じように1両増えると考えられますが、そうなるとつばさは8両になります。
各駅のホームの長さを考えると止まるたびにはみ出してしまうので、増結は難しいでしょう。
結果、1編成7両なのは変わらずに定員が減りました。
それが唯一のデメリットになりそうですが需要に対する対応はどうなるのか見ていきたいと思います。
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福島駅の改良工事はなぜ行う?
山形新幹線の新型車両導入と同じく福島駅の改良工事も行われます。
いったいどういうことでしょうか?
30年間悩みの種だった福島駅
山形新幹線は1992年の開業以来、福島駅の新幹線ホームがある高架橋に入線します。

福島駅到着直前・つばさは連結のスタンバイをする
そして東北新幹線やまびこと連結し東京へ向かうのですが、その作業は下り側のホーム1線だけでしていました。
それによってやまびこはつばさと連結するために線路を平面交差してそのホームへ入線しなければいけません。
現在の福島駅
引用 日テレNEWS24より
工事完成後の福島駅
ダイヤを組むうえでこの構造がずっとネックとなり、列車が遅れると回復するのに時間が掛かる原因になっていました。

やまびこ・東京行きが福島に到着 このように上り線から下り線をまたいでいかなければならない
これを踏まえて福島駅の上りホームへの連絡線を新しく設定し、このわずらわしい構造を解消するのがこの工事の狙いです。
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つばさ以外のE3系はどうなるの?
E3系はつばさ以外でも使われています。その辺はどうなるのでしょうか?
つばさ以外では以下の4つで運転中ですが、動きが見えました!このまま引退する車両が出ていますが、その辺りの情報を見てみましょう!(2020年11月時点)
- やまびこ・なすの
- とれいゆつばさ
- 現美新幹線
- イースト・アイ
やまびこ・なすの
現在こちらの車両、元秋田新幹線「こまち」の車両で、R21・22の2編成がこまちから引退後も使用されています。
今は東北新幹線のやまびこ・なすので使われています。
やまびこでは東京~仙台で1往復・東京~盛岡で1往復・なすのでは東京~那須塩原で1往復・東京~郡山で1往復の計4往復で毎日運転されていました。
このE3系については公式に発表されていませんが、間違いなく引退します。
理由は製造が2002~2005年なので18~15年経っているのでつばさより老朽化が進んでいるからです。
最高速度は275㎞・コンセントやWi-Fiがなく、しかも東北新幹線では「増結」扱いなので、こまちから引退した今は特別扱いされているわけでもなければスピードアップができません。
そして2020年10月31日をもって東北新幹線の運用から離脱します。
理由は「コロナウィルスによる乗客の減少」によるもので、E5系と連結して16両で運転されていた列車が輸送力過剰になりました。
対象となる列車
下り【宇都宮・仙台方面】
- なすの253号 郡山行き
- やまびこ55号 盛岡行き
- やまびこ215号 仙台行き
- なすの265号 那須塩原行き
上り【大宮・上野・東京方面】
- やまびこ202号 東京行き
- なすの268号 東京行き
- なすの272号 東京行き
- やまびこ60号 東京行き
あくまで「運用離脱」ですがTwitterでは「引退」と騒がれています。
しかし引退もまんざら嘘ではないかもしれません。JRから公式に発表されていませんが、運用離脱の期間を定めておらず、このまま引退する可能性があります。
コロナウィルスが終息し、また増結用として復帰するかもしれません。しかしE8系がデビューする2024年までには確実に引退するでしょう。
とれいゆつばさ
土日を中心に福島~新庄を結ぶ観光列車です。
新幹線車両とはいえ扱いとしては「在来線特急」で、運転日が少ないのが他のE3系とはちがいます。
JR東日本はとれいゆに関して特に言及しておらず、このまま安泰であると思われます。
ただし、団体臨時列車で東北新幹線の上野まで走る事があり、その場合は時速300㎞運転が通常化する東北新幹線では支障が出るかもしれません。
そうなれば山形新幹線内だけの運転にに限定されることでしょう。
現美新幹線

浦佐駅にて
新潟~越後湯沢を走る観光列車。アーティスト・蜷川実花監修、長岡の花火大会をモチーフとしたデザインが目を引きます。車内には現代美術作品が展示、「世界最速の美術館」と言われデビューした列車です。こちらは2020年12月に運転を終了。
車両の老朽化と車両の検査期限が切れるタイミングがあったのが引退する理由です。
とれいゆつばさと比べると、こちらは最高時速275㎞で運転する分、負担がかかったのかもしれません。そして後継となる車両を導入する予定はありません。(参考:東洋経済オンラインより)
イーストアイ
イーストアイについて以前記事の中で取り上げました。
正確に言えば違う車両ですがベースはつばさと同じE3系で、分かりやすく例えるとつばさとは兄弟のような存在です。
そんなイーストアイはデビューから19年目。北は函館・西は金沢、東日本の全路線の検測を担当しています。
しかしスピードアップ、車体の変貌、条件や事情が18年の間で変わっているので、そろそろ新しい検測車両が出るのではないかと思っています。
E8系が登場すると同じく、それをベースにした新型「イーストアイ」がデビューするかもしれません。
まとめ
- 新型車両E8系は2023年春デビュー
- ベースはE6系で300㎞運転を予定
- E3系は引退が濃厚
- 福島駅改良で長年の悩みが解消
- つばさ以外のE3系も引退の可能性あり
- 山形新幹線のサービス向上に期待大
しかし、まさかのニュースでしたね。
ミニ新幹線E3系も過去の車両になるかもしれないと思えば今からさみしくもあり、新型車両にワクワクもします。
ちなみに今のつばさのデザインは吉村美恵子・山形県知事の強い要望で実現したものです。
そして新型車両もおなじオシドリカラーを引き継いでいます。なのでこのカラーリングが山形新幹線の標準色として長く定着しそうです。
E8系のデビューをきっかけに山形へ観光に来る人が増えると良いですね。
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