今回レビューする作品は「VICOM想い出の中の列車たち」シリーズの中の1本で
2010年3月12日に定期運転を終えた「キハ52形」の最後の記録となっております。
ジャケットの写真では車体に雪が積もり、雪深い所を走っています。
雪国の厳しい気候が一目でわかるようです。
そんなキハ52形に関連するDVD作品は7本(2019年現在)出版されています。
なぜここまで鉄道ファンに人気なのでしょうか、
それは国鉄型キハ52形として日本で最後となっただけではないのかもしれません。
今回はこちらの作品をレビューするとともにキハ52形の魅力を解説していきましょう
キハ52形とは
国鉄型キハ20形という気動車の一種で、勾配のある山間を走る路線のためにエンジンを2機積んだ車両です。
通常は1~2両で走ります、渋くて頑丈そうな外観と小さな車体が魅力的で懐かしさを感じさせる車両です。
かつては全国各地で走っていましたが、老朽化によって廃車、海外へ譲渡され、
現存するキハ52形はごくわずかとなってしまいました。
そのうち1両が千葉県のいすみ鉄道で週末に臨時列車として走っており、
現役で動いているのはこの1両のみとなっています。
いすみ鉄道についてはこちらにまとめてあります。
大糸線での活躍
大糸線は松本~糸魚川を結ぶ路線で、その内、JR西日本が担当する南小谷~糸魚川で活躍していました。
そこでは115号 158号 156号の三両が晩年まで活躍していました。
それまでは専用カラーでしたが
後に急行色・準急色・首都圏色に塗り替えられ、鉄道ファンの人気を集めました。
車両の老朽化もあって現在はキハ120形に置き換えられています。
また、他1両は糸魚川駅構内に、もう1両は岡山県の津山まなびの鉄道館に保存されています。
大糸線で活躍した3両のキハ52形は現在でも大切に保管されています。
商品の詳細
- タイトル:さようなら大糸線のキハ52形 (想い出の中の列車たちシリーズ 23)
- 発売年:2010年
- 製作:VICOM
- 価格:DVD版 3800円(税抜) Blu-ray版 4380円(税抜)
VICOM公式HPによると、今は廃盤となっておりまして
現在は本編の他に特典映像と前面展望を加えた「ブルーレイベストセレクション」
として再販売されています。
詳しくは公式HPをご覧ください
※なお、今回はDVD版を基にレビューを進めて行きます。
見どころ
糸魚川駅から大糸線の旅がスタートします。
糸魚川駅構内には1912年に作られた赤レンガ車庫がありました。
現在は撤去され、モニュメントとして一部が残されています。
今はなき赤レンガ倉庫の全体像を見る事が出来ます。
列車が各駅に停車する様子を収録しています。
進むにつれて市街から田園、そして山間や多くの鉄橋を渡って終点を目指します。
山間を縫って走るので路線は大きな勾配や急なS字カーブが目立ちます。
それだけ厳しい所を走っているのだと感じますが、
小さな車体で軽々と超えてしまうあたりがキハ52形の見せ所です。
そして列車は終点南小谷駅に到着します。
松本行の普通列車や新宿方面行の特急「あずさ」が停車する中、
キハ52形はJR東日本の車両に挟まれてゆっくりと入線します。
さすがにあずさの新型車両と対比すると面白い感じがします。
こちらの作品の面白い所は列車が通過するまでの様子を時間をかけて1カットで収録している点です。
鉄道写真を撮るイメージをしながら見るとライトが見えた瞬間、来る!とカメラを構えてベストショットの位置までドキドキしながら待っているあの時の感覚を感じさせる演出が多く見られます。
山あいの風景とレトロな車両がとにかくマッチしているので絵になります。
都市部のメタルな通勤電車とは違った静かでのどかな時間を楽しめます。
豪雪・そして引退へ
2010年2月早朝、雪が降る中で始発列車が発車します。
その日は数年に一度の大雪が降っていました。
北陸地方は日本有数の豪雪地帯ですが、この年は特に雪が多い年でした。
そのため、飛行機は欠航・JRやバスは大幅な減便を強いられましたが、
唯一大糸線だけは通常通り運行されていたから驚きです。
キハ52形のエンジンの「頑丈さ」、車体の「堅牢さ」、運転士の「巧みな運転」が証明された。
そんな1シーンです。
もしかしたらどんなに雪が積もってもただ黙々と走る姿がファンを虜にしてるのかもしれません。
私も撮り鉄なので豪雪の中を走る様子の写真を撮りたかったなーと
DVDを見ながら思っていました。
(なかなか危険な行為なのですが…)
3月になると、引退が近くなり、多くの鉄道ファンが最後の列車に乗ろうと集まりました。
糸魚川駅ではさよなら運転のセレモニーが行われ、多くのファンがその日の最終列車を見送りました。
定期運転がおわり、新型車両に置き換わった後、3月20~22日の3日間に、キハ52形3両をつなげったさよなら列車が運転されました。
現役では見られなかった3両編成や最後の姿ということもあって沿線には多くの撮り鉄の方たちがカメラを構えている様子が収録されています。
この日を境に大糸線から国鉄型キハ52形が引退しました。
まとめ
いかがでしたか?
キハ52形・大糸線での最後の活躍を収めた作品の紹介でした。
引退から10年近くたちますがその当時から見ても残された最後の国鉄型ディーゼルカーの貴重な映像だとおもいます。
こんな方におススメ!
- 国鉄型車両に興味がある方
- ローカル鉄道の風景に癒されたい方
- 雪の中を走るキハ52形を見てみたい方
逆にこのような方にはおススメしません
- 国鉄形に興味が無い方
- 長い走行シーンが退屈に思う方
- もっとメカニックな部分について知りたい方
- 他の線区の活躍を見たい方
解説やBGMをオフにして見る事が出来るので楽しみつつ作業したりと「ながら見」でも楽しめると思います。
大糸線でのラストランを収録した作品は他にもありますが、大糸線以外にも
山形県の米坂線や福島県の磐越西線での活躍を収録した作品もあるので
興味がある方はそちらもチェックしてみて下さい!!