前回は貨物列車の中で最もパワフルな機関車
「金太郎」について紹介したところ
子どもだけではなく大人の方からもたくさんのアクセスが集まりました。
先日東京に住んでいる私のいとこからこのようなことを質問されました。
「『桃太郎』って機関車はどこでみられるの?」と。
桃太郎ことEF210形は東海道線を中心に西は山口県
北は栃木県まで幅広く運転されていますが
関東では頻繁に出会える機関車なんです!
今回は青い車体がお馴染みの「桃太郎」こと
EF210形についてどこで見られるかなどを含めて
詳しく解説していきます。
どこで写真が撮れるかなど実際に見てみたい方には参考になればと思います。
ページコンテンツ
EF210形とは?

東海道線 山崎駅にて
JR貨物が東海道・山陽本線の貨物列車用に開発した機関車で、平坦な路線での高速運転が得意な「スピード」を重視した機関車です。
デビューは1996年・新しいようで意外とデビューから24年も経っています。
現在でも通用する省エネ設計や運転操作のしやすさなどが評価されています。

国鉄型EF66形とほぼ同じパワーが出るように設計された
国鉄型のEF65形とEF66形との中間くらいのパワーを想定して作られました。
実際はEF66形よりややパワーを抑えている程度で、出力が30分ごとに定格で出る仕組みとなっています。
なので東海道本線の難所・関が原を1300tもの貨物を引っ張って運転できるパワーも優れた機関車です。
なぜ「桃太郎」なのか?
引用:愛称別トレインマーク事典
デビューした当時、一番最初に配置されたのが桃太郎伝説で有名な岡山県の「岡山機関区」でした。
これはJR貨物が公式に決定した初めての愛称で、その後の機関車にも相性が付けられるきっかけにもなりました。
伝説のハイパーマンモス機関車「EF200」
私が気になったのがなぜ桃太郎はEF66よりも強い機関車ではないのかという点ですが、実は桃太郎がデビューするよりも前に強い機関車が存在していました。
引用:Wikipediaより
それが1990年デビューの「EF200形」です。
1987年・バブル景気で貨物需要が大きくなっているころ、国鉄型の置き換えやパワーアップが課題となってきました。
そこで「EF200形」が誕生しました。
実際は桃太郎の出力が3390kwhなのに対して、EF200形は6000kwhと倍近い力を出せる「日本でいちばん強力な機関車」が生まれました。
しかしその強力さがかなりの電力を消費するため、変電所の電力が追い付かなくなるという構造的なトラブルが発生し、「EF200形」は「変電所キラー」とも呼ばれます。
貨物列車の運用ではEF66と同じくらいのパワーに抑えられた 引用:Wikipediaより
それ以降EF200形は20両製造された全てがその本領を発揮することがなく2019年に引退しました。
そしてこの失敗を元にEF66形と同じくらいの出力で省エネを実現したEF210形「桃太郎」が登場します。
今回参考にした書籍はこちら
どこで見られるのか?

東海道本線 清州駅にて
桃太郎が定期的に走る路線と区間を表にまとめました。
貨物専用線を含めるとややこしくなるので、今回は「旅客路線」でまとめています。
東海道・山陽本線 | 東京貨物タ~幡生 |
東北本線 | 東京貨物タ~宇都宮 |
高崎線 | 東京貨物タ~倉賀野 |
中央本線 | 立川~八王子 |
武蔵野線・京葉線 | 新鶴見~蘇我 |
根岸線 | 桜木町~根岸 |
瀬戸大橋線・予讃線 | 岡山~新居浜 |
主に東海道・山陽本線を中心に、
北は栃木県宇都宮・西は群馬県倉賀野・南は愛媛県新居浜と運用範囲がかなり広いです。

EF65形機関車 このほかに金太郎ことEH500形など見られる種類が多い 武蔵野線西浦和にて
武蔵野線にいたっては、東京貨物ターミナルから宇都宮・高崎・蘇我方面へ向かう貨物列車がひんぱんに走り、その中にEF210形が見られます。
運用は同じ直流電気機関車のEF65形・EF66形と共通していることが多いので、時間によっては見られなかったりしますが逆にいえば見られるチャンスはかなり多いです。
私の経験談ですが、写真を撮るときにわざわざ時刻を確認しなくても待っているだけでノーマークで見られます。
オススメの路線
- 武蔵野線
- 東海道本線東戸塚~小田原
- 湘南新宿ライン浦和~大宮

東海道本線内では間違いなく出会える 東海道本線根府川駅にて
これらは元々貨物専用線だったり、貨物列車用の線路があったりするので貨物列車はひんぱんに行きかいます。
平日の日中でも1時間に2~3本通過し、また東京からの距離とアクセスの時間や手間を考えると、この3路線が一番手軽に見られると私は考えました。
注目したい桃太郎による専用貨物列車
トヨタロングパスエクスプレス
引用:Twitterより
愛知県笠寺~岩手県盛岡までを結ぶ「トヨタ自動車」専用の貨物列車。
これは愛知県と岩手県の両方にトヨタの自動車製造工場があり、部品をそれぞれに運搬する役目をもっています。
コンテナには「TOYOTA」のロゴが入っており、貨車にはいっぱい詰まれています。
列車の長さもスゴイですが同じコンテナがそろっているシーンは圧巻です。
1日1往復の運転です
福山レールエクスプレス

東海道本線平塚付近にて
「福山通運」による貸し切り貨物列車です。
近年、トラックドライバーの不足やCO2など、温室効果ガスが問題となっています。
それらの問題に配慮するため貨物列車の運転をスタートさせました。
明るいみどり色の「福山通運」のコンテナがキレイに並んでいます。
トヨタロングパスエクスプレス同様、貨物列車と比べて統一感があるだけで貨物列車はかっこよく見えます。
こちらは東京~大阪・東福山と、名古屋~福岡に1往復ずつが運転されています。
トヨタロングパスエクスプレスより見るチャンスが多いのがオススメです。
石油輸送タンク貨車
貨物列車と言えばこのような「コンテナ」方式が一般的ですが、中にはコンテナではない専用貨車があるのをご存知でしょうか?
このような大きいタンク型の貨物列車をたぶん見たことがあるかと思います。
これは石油を運ぶための専用列車で、桃太郎は神奈川県の根岸駅から中央本線の八王子駅・高崎線の倉賀野駅・東北本線の宇都宮駅まで運びます。
あとは別の機関車にバトンタッチされ、長野県や東北地方へと運ばれていきます。
タキ1000形 現在石油輸送で主力のタンク貨車 引用:川崎界隈貨物資料室より
使用されるタンク車はJTXGが所有するタキ1000形タンク貨車。
緑とグレーのツートンカラーに「ENEOS」のロゴが入っています。
コンテナ車を牽いて軽快に走る貨物列車とは違って、いかにも重たいものを引っ張っている感じが魅力的に見えます。
根岸駅からは1日11往復が出ているので観察してみてはどうでしょうか?
まとめ
- 昔は岡山にいたので愛称は「桃太郎」
- 東海道・山陽本線と運転の範囲が広い
- 武蔵野線・根岸線など東京郊外で頻繁に見かける
- ハイパワーで省エネなかっこいい機関車
- 専用貨物列車もかっこいい
貨物列車シリーズ第2弾「EF210形:桃太郎」
前回の「EH500形:金太郎」よりは間違いなく見られるチャンスが多い機関車です。
とはいってもまだまだ国鉄型の機関車が活躍しているので
それも合わせてEF210を見て行ってはどうでしょうか?