新幹線のお医者さんと言えば西のドクターイエローと東のイーストアイですね。
前回、こちらの記事でどのような車両なのか、出会える方法について紹介しました。
その他にも、山手線などの在来線を検査するイーストアイの存在をご存知でしょうか?
こちらも中々見る事が難しく、珍しい車両です。子どもたちだけでなくファンの間でも人気が高い車両なんですが、いったいどんな検査をするのか?どこを走っているのかイーストアイは謎が多すぎます。
今回は謎多き車両・イーストアイについて詳しく解説します。
こんな方におすすめ
- イーストアイを見てみたい方
- イーストアイは2つあるけど何が違うのか知りたい方
- レアなシーンを見てみたい方
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在来線を走るイーストアイ(East-i)とは?
イーストアイ(East-i)はJR東日本が所有する「事業用車両」つまり、お客を乗せて走らない車両で、主にエリア内の検測作業を行っています。
そんなイーストアイ(East-i)は3種類存在します。まずは新幹線用のイーストアイ・E926形。
次にイーストアイ(East-i)EことE491系電車、主に電化区間での検測を担当します。
最後はイーストアイ(East-i)DことキヤE193形気動車、こちらは非電化区間を中心に検測します。
いずれも白いボディに赤いラインが入ったカラーリングで、赤十字を連想するので「鉄道の医者」のイメージにしっくりきます。
この中で在来線の検測をするのは2番目のイーストアイ(East-i)Eと3番目のイーストアイ(East-i)Dの2つになります。
見た目がほとんど同じなので何が違うかを解説して深堀ましょう。
イーストアイ(East-i)Eのここがスゴイ
イーストアイとは?2002年にデビューした事業用検測車両。これまで検測で使われた193系・443系・マヤ34形といった車両が老朽化したため、置き換えるために製造されました。
これまでは電気方式の違いや管轄の関係でダブついていた検測用車両が、イーストアイ1編成で広範囲を合理的な検測が出来ます。
443系電車 引用:Wikipediaより
電化路線を検測するという意味を込めてイーストアイの後にエレクトリックのEを愛称につけています。
基本データ | |
デビュー年 | 2002年 |
編成 | 3両(2M1T) |
所属先 | 勝田車両センター |
サイズ | 20ⅿ(車長)×2.9ⅿ(幅)×4.051ⅿ(高さ) |
最高速度 | 130㎞/h |
ブレーキシステム | 回生・発電ブレンディングブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、抑速ブレーキ、耐雪ブレーキ、直通予備ブレーキ |
車両の編成
1編成で3両、車両はそれぞれ信号・通信系統と電力系統と軌道を検測する専用に分かれています。
走行性能は高く、最高時速は130㎞まで出せます。これは高速で列車が走る路線で同じスピードで走った時の不具合を検査するためでしょう。
また車体は小さめで、屋根は低く抑えられています。中央本線など一部の区間ではトンネルの規格が小さいため、対応した車体設計になっています。
運転範囲
JR東日本の電化区間のほぼ全てに対応しています。電源は関東圏の直流と東北地方の交流電化50㎐に加え、北陸地方の交流60㎐の3電源に対応しています。
ただし、電化路線でも以下の路線では物理的に入線が出来ません。
奥羽本線 | 福島~新庄 | レール幅の違いで入線不可能 |
田沢湖線 | 盛岡~大曲 | レール幅の違いで入線不可能 |
仙石線 | あおば通~石巻 | 仙台側は連絡路線がない・石巻側は非電化区間を通らないといけないため |
また、JR以外の私鉄・第3セクター路線で検測することが1年に1~2回ほどあります。実績がある線区はこちら
伊豆急行 | 伊東~伊豆急下田 |
東京臨海高速鉄道 | 大崎~新木場 |
えちごトキめき鉄道 | 妙高高原~直江津・直江津~泊 |
しなの鉄道 | 軽井沢~篠ノ井・長野~妙高高原 |
IGRいわて銀河鉄道 | 盛岡~目時 |
青い森鉄道 | 目時~青森 |
阿武隈急行 | 槻木~福島 |
仙台空港鉄道 | 名取~仙台空港 |
富士急行 | 大月~河口湖 |
北越急行 | 六日町~犀潟 |
表の路線はいずれも、JRとは直通運転をしている関係で、路線の検測をイーストアイが代理で行います。
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イーストアイ(East-i)Dのここがスゴイ
2002年にデビューした事業用検測車両。これまで検測で使われたマヤ34形が老朽化したため、置き換えられました。
前述のイーストアイEとは違い、非電化区間を専門に検測が出来るように電機ではなくディーゼルエンジンを動力に走ります。
イーストアイDの「D」はディーゼルエンジンの頭文字なので覚えやすいですね!
基本データ | |
製造年 | 2002年 |
所属先 | 秋田車両センター |
編成 | 3両編成 |
最高速度 | 100㎞/h |
サイズ | 20.5ⅿ(車長)×2.9ⅿ(幅)×4.05(高さ) |
性能 | 電気指令式空気ブレーキ・耐雪ブレーキ・直通予備ブレーキ・機関ブレーキ・排気ブレーキ |
車両の編成
1編成で3両、車両はそれぞれ信号・通信系統と電力系統と軌道を検測する専用に分かれています。
ディーゼルカーでありながらパンタグラフを備えています。これによって電化区間での検測が可能です。
なので電化路線でも運転と検測の両方ができます。ただし、あくまで検測用のパンタグラフなので動力源には使えません。
主にJR東日本の非電化区間および仙石線等電化区間がメインエリアとなっています。
ただし、以下の路線では入線が不可能となっています。
奥羽本線 | 福島~新庄 | レール幅の違いで入線不可能 |
田沢湖線 | 盛岡~大曲 | レール幅の違いで入線不可能 |
また、JR以外の私鉄・第3セクター路線で検測することが1年に1~2回ほどあります。実績がある線区はこちら
JR北海道 | 各路線 |
JR貨物 | 越中島線・新潟港線・秋田港線など |
山形鉄道 | 赤湯~荒砥 |
真岡鐡道 | 下館~茂木 |
わたらせ渓谷鉄道 | 桐生~間藤 |
会津鉄道 | 会津若松~会津田島 |
鹿島臨海鉄道 | 水戸~鹿島サッカースタジアム |
京葉臨海鉄道 | 蘇我~北袖 |
えちごトキめき鉄道 | 直江津~泊(日本海ひすいライン) |
私鉄・三セクだけでなくJR北海道やJR貨物の路線も検測するようです。これを含めると1年間でかなりのエリアを検測することになります。
なんでイーストアイが使われるの?
検測用の車両を持たない、あるいは大規模な検測が出来る車両を自前で持たない会社の場合、1年に1回「レンタル」する。
これは検測用車両を作る・持つよりイーストアイを借りる方が安く済むからなんです!(世知辛い・・・)
ただし、検測実績がある区間の共通点は「JR東日本の線路とつながっていること」入線がカンタンなので毎年恒例で検測を行う。
特別編成・マヤ50とは?
突然ですが、このイーストアイの2両目の車両、何かいびつな形をしているのに気づきましたか?
こちらはマヤ50形という車両で、普段は見る事が出来ずに特別に連結されています。
マヤ50形とは?レーザー式建築限界測定車といい、駅、トンネルなどの鉄道施設の「建築限界」を測定するための車両です。
もしトンネルなど施設が老朽化して崩れかかる部分が、鉄道車両に当たれば大事故になります。
マヤ50はその事故を起こるのを防ぐためにこの車両で測定します。

建築限界測定車 リニア鉄道館にて
かつては車体に突起が着いたこんな車両を使っていました。
この突起が触角の役割をして、当たると折れ曲がるようになっています。結構アナログな方法で検測されていたようです。

花魁のイメージ
この見た目がかんざしを挿した花魁に似ていることから「花魁列車」と呼ばれていました。そしてマヤ50形はファンの間では「光おいらん」と呼ばれ、突起もないし花魁の面影すらないのに「花魁」のあだ名が受け継がれています。
改めて見て見るとこんな形です。普通はイーストアイの中間に連結されて走りますが、稀に機関車に連結されて走る事があります。
レーザーを照射できるように小窓が着いているなど、見た目としては結構いびつな形をしています。
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イーストアイを確実に見るための方法
在来線でイーストアイを確実に見るためには、運転日と時刻を知ればいいのですが、それが確実に出来るたった一つの方法があります。
それは「鉄道ダイヤ情報」を購入することです。
鉄道ダイヤ情報には「臨時列車情報」というコーナーがあり、時刻表に乗っていない臨時列車の情報が載っています。
そして、その中にイーストアイの情報が掲載されています。
価格は一冊1000円・毎月15日書店にて販売しています。書店または電子書籍で。
さらに鉄道ダイヤ情報公式アプリ「DJ鉄道楽ナビ」では、月額370円(ios)360円(Android)で臨時列車の追加情報が手に入ります!
雑誌と合わせるとより精度の高い情報がスマホで知る事が出来てオトクです。
まとめ
今回はイーストアイの在来線版・イーストアイ Eとイーストアイ Dについて紹介しました。
新幹線版のイーストアイは言うまでもなく大人気ですが、こちらの2つもファンから人気が高い車両です。
タイミングが合えばラッキーですが経路や時刻を知る事が出来るので、神出鬼没な列車というわけではないようです。
もし気になるという方は鉄道ダイヤ情報を手に取れば日時が分かるので手にとってはどうでしょうか?